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森林ガバナンスって何?

 ガバナンスというと、日本では「企業統治」という意味で使われることが多いように思います。
 私たちは、北海道各地で森林管理の現場の、さまざまなポジションで働いています。 現場にはいろいろな問題があり、それを解決していくためには、さまざまな関係者と議論をしながら共通認識を増やし、その時々で「ここまでなら妥協できる」という合意によって少しずつ実績・成果を積み上げていくしかありません。
  その結果や影響を見ながら、決めたことが正しかったのかを検証し、関係者で議論し修正していく、そのなかで、少しずつ信頼関係ができて協力できる部分も増えていく、そんな風にしか自然とのつきあいかたを決めていくことはできないと思うのです。
  こんな社会のあり方全部を「ガバナンス」という風に考えています。私たちは森林に関わっているので、その中でも「森林ガバナンス」にこだわっています。また、森林ガバナンスは地域・流域ごとに考えるべき、ということから、「地域森林ガバナンス」という意味合いも含んでいると思います。 そして、そのガバナンスの主役は、地域でがんばっている、森林に対して想いのある人たちであり、またそうでなくてはならないのです。

今までのレポート

 私たちは、できるだけ多くの方に私たちの議論のプロセスを共有していただき、共感できる部分を見つけ、ともに現状を変えていくためにみんなで支え合いながらがんばっていきたいと思っています。
 よろしかったら、どんな関心があってこのレポートを読まれるのか、森林とどんな関わりをされていらっしゃるのかメッセージを送ってくだされば幸いです。
 事務局 jin@morinet-h.org あての新規メール件名に「レポートのダウンロード希望」とご記入の上、メール本文にメッセージをお書きください。
 どんな方々が、私たちのレポートに興味を持って下さるのかについて、私たちも興味を持っています。
 どうぞよろしくお願いします。

お知らせ

2025年2月15日・16日 in札幌
新ガバナンス研究会、第4回目のミーティング
 

今回オンラインも含めて13名の参加。残念ながら、前回出席で都合のつかない方が多かったこともあり、予定していた「前回の続きで班分けして議論を長めに」という進め方を変更してのスタートとなりました。

1日目は、最初に「お悩み相談から情報交換」のフリーの形式でのトークを進めました。学生や今回が初回の方の話題を切り口に、盛り上がりました!
(主な話題)小規模林業事業体への支援、自治体職員としての働き、九州の生産再造林

次に今後のガバ研の方向性について話し合いました。まだまだ模索中ですが、同意を得られた主な内容として、

  • 「がっつり(提言や林業雑誌への投稿を目標に)」と「情報収集(続けられる姿勢、がんばりすぎず、会に参加してよかったと思える感じ)」いう2つの姿勢を可とする。
  • アウトプットのはじまりとして、会の記録を、内部向け共有に1枚ペーパーにし(※このまとめ)HPに。
  • 共有ツールとしてディスコードを採用
  • 基本的には、1日目はテーマに沿った視察、2日目は議論(順番は検討)

前回のミーティングでグルーピングされた4つのテーマについて、班に分かれて議論した後、それぞれ発表を行いました。

1日目の後半と2日目は「労働力不足」「人材育成」をテーマに、議論を進めていきました。様々な項目について意見を交わしました。主な項目として、

  • 林業高校、北森カレッジの重要性と今後の役割(可能性)やカリキュラムの提案
  • 労働力不足・採算性から考える森林のゾーン分け
  • 林業事業体の課題と低コスト林業

「人」がテーマであったこともあり、森林施業の考えや普及啓発など多くの分野ともつながった議論となりました。逆に言うと、森林林業分野の様々なことを考えるときに労働力や人材ということを踏まえるべき、というところでしょうかね。

今回は次回の議論に向けた予備議論のような形になりましたが、向かうべき方向が見えてきたのでとても充実していた2日間だったと思います!
【文責:上田】

2024年9月 新ガバナンス研究会、第3回目のミーティング。
道北は幌加内町、北大雨龍研究林で行いました。
 

1日目は室内でじっくり議論。

  • 1班:人材育成と組織の在り方
  • 2班:森林施業と木材利用
  • 3班:地域の森林計画、枠組み、政策
  • 4班:地域社会と都市住民

前回のミーティングでグルーピングされた4つのテーマについて、班に分かれて議論した後、それぞれ発表を行いました。

2日目は雨龍研究林のフィールドを見学しました。
林床のササを重機で剥いで土壌を裸出させ、自然散布種子の発芽・定着を促す方法を「かき起こし」といいます。

かき起こしにもいろいろなバリエーションがあって、例えば「表土戻し」。これはかき起こしで剥いだササや表土を再び施工地に敷き戻す新技術です。天然更新した稚樹は従来の方法に比べ圧倒的に速い成長を示します。

択伐木の周囲をかき起こしする「樹冠下かき起こし」。
周囲の母樹による種子散布、そして適度な日隠によって多様な樹種が更新します。

最後に約50年前のかき起こしで成立したカンバ林の間伐作業地を見学。
ザウルスロボやプロセッサ、高性能林業機械による列状間伐。
伐採と同時にザウルスロボで表土戻しを行い、施工2年後の林床にはたくさんのカンバがじゅうたんのように更新しています。

雨龍研究林からは造林技術の視点からの紹介でしたが、そこは森林ガバナンス研究会。木材利用や政策・制度、さまざまな視点での議論がフィールドで行われました。
【文責:坂井】

2024年6月1日~2日 2024年度第1回ミーティングと現地巡検を開催しました
 

昨年9月の研究会活動再開以来、初めてのミーティングを札幌市内で開催しました。
初日はオンラインも含めて15名が参加し、まずは活動再開から新たに研究会メンバーとなった6名から自己紹介を兼ねて、自分が取り組んでいる活動や日ごろ感じている森林・林業に関する課題、悩みなどを報告し、質疑応答を行いました。

その後、今後の研究会の進め方を検討し、年2回(室内議論と現場巡検を1回づつ)の開催と情報交換の手段としてメールとLINEを活用することが決まりました。

次に、今後の研究会で議論するテーマを選定しました。一人1分程度でメンバー自身が考えている課題を発表し、課題をグルーピングしました。その結果、以下の4つのテーマに絞り、今後班内で議論を進めることになりました。

  • 1班:人材育成と組織の在り方
  • 2班:森林施業と木材利用
  • 3班:地域の森林計画、枠組み、政策
  • 4班:地域社会と都市住民

2日目は、研究会メンバーが管理する札幌南高等学校学校林を12名で視察しました。
現地では小規模林業の作業システムに適応した伐開幅の狭い森林作業道を歩きながら、カラマツの列状間伐地やトドマツの風倒被害跡地の天然更新経過観察林を見学しました。

案内したメンバーからは、森林作業道を開設するにあたり、森林環境譲与税を財源とした札幌市独自の補助事業を活用したこと、開設した作業道は南高関係者だけでなくマウンテンバイクの愛好家に開放し、愛好家らが自主的に作業道の落ち葉掃除などの維持管理に携わっていること、きめ細やかな作業道のおかげで搬出効率が改善すること、注文の入った木材を選んで伐採できることなどの説明がありました。

初夏のさわやかな気候の中、充実した2日間の集まりとなりました。
【文責:栗田】

2023年9月23日 新体制発足・10年ぶりにミーティングを開催しました
 

2013年から、実質的な活動休止状態になっていましたが、ガバナンス研究会の発起人である柿澤先生が退官されたことをきっかけに、約10年ぶりにミーティングを開催しました。

各メンバーがこの10年間で行ってきたことをプレゼンした他、質問が出た際には活発な議論を行いました。これまでのメンバーに加えて、新たなメンバーも参入し、約20名が議論を交わしました。
今回から学生の参加者もおり、各々の関心に結び付けた質問が飛び交いました。

また会の後半では、今後のガバ研の方針について話し合いました。
存続させるか・解散するかという論点から話し合いは始まりましたが、

  • 現代の道内の森林管理・利用において、向き合うべき課題は多く存在する
  • 多様な背景を持つメンバーが繋がるこのネットワークは価値あるものである

という、参加の共通認識が取れたことから、継続が決定しました。

話し合いの末、事務局は新体制となり、北海道森林ガバナンス研究会は新たなスタートを切りました。
【文責:江川】

2012年11月24日(土)~11月25日(日)に厚真町で会合を行いました
 

今回は研究会のメンバーがフォレスターとして働く厚真町とむかわ町に10名ほどが集まりました。初日はまず三井物産が所有する山林で、マカバの人工林施業について検討しました。前回の会合では天然更新したマカバ林の施業について検討しましたが、人工林でも早期の間伐が重要であることを再認識しました。その後、厚真町の農林家を訪問し、間伐材を製材、炭焼き、枝条は訪れるこどもたちの火遊びの材料と所有林の恵みを十分に利用しながら手入れを続けている山林を散策しました。また、所有林のカラマツで建設した山小屋でコーヒーを頂きながら多くの話を聞くことが出来ました。
 翌日は懸案であった人材育成のレポートの作成を行いました。とりまとめに予想外の時間がかかりましたが、行政関係者、フォレスター、施業プランナー、現場技術者、NPOなどさまざまな所属からなる研究会の特徴を活かしたレポートが完成しました。興味のある方はHPからダウンロードしてご覧下さい。



2012年7月14日(土)~15日(日)に幌延町と中川町で会合を行いました
 

今回は道北にメンバーが集合しました。
1日目は天然更新をテーマに幌延町にある北海道大学天塩研究林の見学を行いました。
天然更新施業は掻き起こしを中心に試みられています。掻き起こしとは林床を覆うササを重機で剥ぎ取り、鉱物土壌を露出させて樹木の発芽と定着を促す施業です。天塩研究林では道内で最も古い掻き起こし施業地の一つ(40年生)があり、蓄積は200~250m3に達しています。
 人工林施業と掻き起こしを組み合わせた施業地もありました。77年生のトドマツ人工林では、択伐とバックホウによる樹冠下掻き起こしを組み合わせ、施工面を適度な被陰の状態におくことで、多様な樹種の更新を狙っています。
 剥ぎ取ったササを一時堆積させ、ササが枯死した後、再び施工地に敷き戻す「表土戻し」と呼ばれる施業地もありました。今後の稚樹の成長が注目されます。
 2日目は中川町の集会所で会議を行いました。メンバーの近況報告が中心でした。改めてガバナンス研究会が多様なメンバーで構成されていること、そして様々な仕事によって森林管理が支えられていることを感じました。そのあと人材育成レポートの作業分担を取りきめ、道北ミーティングを終了しました。


2010年6月5日(土)~6日(日)に、幕別町で会合を行いました
 

今回は幕別町で種苗業に携わるメンバーの呼びかけで道内各地のメンバーが十勝に集合しました。カラマツの新緑と残雪の残る日高山脈に青い空を眺める絶好のコンディションの中、新たに野生動物の調査、研究に携わるメンバーも加わり、国で検討されている森林・林業再生プランの動向を踏まえつつ北海道地域のあるべき人材育成体制の整備について議論しました。
苗畑の現地見学では、昔ながらの植え付け機械が今なお現役で活用されている様子から組織培養による苗木育成の様子、普段関わりの薄い緑化木生産の様子までを案内してもらい、見識を深めることのできた2日間でした。(K)

今回のテーマは「育てる」。2万年前にナウマン象が闊歩した十勝の大地で、全道各地に点在するフォレスターの資質ある人たちを「どう育てていくのか」、時節を得た緊急の課題について、熱い議論が交わされました。熱い露天風呂で夜中3時まで議論を交わす声は、春の宵風にのって湯けむりとともにどこまでも昇っていきました。2日目は、遅い春を楽しむカッコウやセンダイムシクイの囀りの中、苗畑を見学しました。雑草と間違えて抜かれることもある小さな苗木達と、それを根気よく「育てている」人の営みをまのあたりにし、各地で植えられている苗木1本1本や苗木が最終的な森林になったときの姿について、各々考えを育みました。(T)

平成22年4月25日forestsoul project(研究会メンバー)が根室にて森林ワークショップを行います
 

道東で現場作業員をしながら森林ガバナンス研究会メンバーとして所属している中川貴之といいます。本職の傍ら、昨年春から「forestsoul project」というグループを立ちあげ、年に3~4回ほどのペースで「山とつきあう木とつきあう」という森林作業と木工の基礎実践ワークショップを、根室市厚床にある根室フットパスの協力を得て付近の森で小規模に行っています。
農村から都市への人口移動や科学技術・輸送技術の発達、職業の細分化などが原因で、一般の人々が森などの地域の自然と関わる機会が昔に比べ格段に少なくなり、それにともなって生活の中で地域の自然と自分自身が関わる技術・知恵が失われようとしています。当プロジェクトでは、「プロではなくても少しぐらいはこういった感覚を捨てずに地域の山や木とつきあっていけたら…」という想いからワークショップをはじめて、昨年度1年間を通して林業機械や手道具を使った簡単な伐木や草刈をともなった森の路づくり、そこから切り出した木を使ったスプーンや小皿づくりを行ってきました。
森と自分がその場で関わったりそこから何かをつくりだしていくという過程を踏む事は、いままで知らなかった森や木の現実や生命力を自分の目で見て知ることにもなったり、それ以上に山や木とつきあう大変さや楽しみ・喜びを自らの感覚で実感することにつながってきます。
そうした経験のなかでささやかに森と自分の生活のつながりがみえてこればいいな、ということで、来る4月25日に第5回となるワークショップを開催しますのでよろしければ詳細を根室フットパスのホームページからご覧くださいね。

平成21年11月22日(日)~23日(月)に、標津町で会合を行いました。
 

この町では、研究会のメンバーの1人が“森林官”として、地域ではたらいており、彼に実際の現場を案内してもらって、「地域にふさわしい森林管理」の論議を深めました。
 現地に向かう最中、車から窓越しに外を眺めると、少し雪化粧された知床連山が力強く迫ってきましたが、それ以上に漁業や酪農など地域の産業を下支えする防風林や河畔林などが切れ間なく続いている風景が印象的で、これこそ根室地域の森林の特徴だと感じました。
 現場は、サケ科の魚類が遡上する忠類川の上流域で、魚が産卵のため落差のある自然の滝越えにチャレンジする様が見える名所です。ここで、河畔林の整備が河川の水質や生態系へ与える影響や、この貴重な環境資源を環境教育や観光など流域全体の活性化につなげていくための方策など、森林管理と流域管理のあるべき姿について、意見を交わしました。雪のちらつくなか、夏に力強く空に舞いのぼる無数のサクラマスと地域の発展を思い描き、宿に帰っても討論が夜遅くまで続けられました。

平成21年12月20日
 

念願のガバナンス研究会ホームページができました。事務局はNPOもりねっとの中においていますので、お問合せお願いします。すぐにお返事できない場合もありますが、なるべく数日内にはお返事するようにします。

平成21年11月22日
 

3月以来、今年2回目のミーティングを開催しました。今回は国有林や種苗業界からの新メンバーも加わり、今までよりさらに森林管理を総合的にとらえることができるようになりました。森林データについての議論もだいぶ煮詰まったので、なるべく早くレポートを出す予定です。
今後の議論とレポートのテーマについて、「人材育成」に決定しました。



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お問合せ

ガバナンス研究会 代表 陣内 雄
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